日中社会学会・2000年度第2回研究会のご報告


現代中国農村における家族戦略 −江南農村におけるケース・スタディ−

富田 和広
 (県立広島女子大学)

(2000年11月10日 於:県立広島女子大学)

(報告要旨)
 P.ブルデューが提出した、血統を基盤とするグループについての諸戦略をトータルな家族戦略と位置づけ、中国・江南農村での調査データから二つの親族集団についてその家族戦略を詳細に分析し、現代中国農村の家族戦略の特徴を明らかにすることを試みた。
 その結果、解放前は乳幼児の死亡率が高く、子供の数のばらつきが多く、また早婚であるために、兄弟の年齢差も大きい場合もあるなど、非常に不確定要素が高いことが、相続などのあり方に大きく影響していることが明らかになり、臨機応変に対処するための戦略が重要であることが明確になった。
 同時に、財産分割のたびに親族グループ規模は大きくなっても、そこには統一された戦略はみえず、その戦略は、「家族」という範囲を越えないことを明らかになった。

 詳細は、以下の論文を参照。
 富田和広「現代中国農村における家族戦略−江南農村におけるケース・スタディ−」『広島女子大学国際文化学部紀要』第7号、広島女子大学国際文化学部、pp.41-54。