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アジアにおける日本の大衆文化ブーム

21世紀の文化グローバライゼーションについて

呉偉明

(シンガポール国立大学/香港中文大学日本研究学科助教授)

研究目的:シンガポール、台湾、と香港等のアジア都市を例として、漫画、テレビ・ドラマと音楽などの日本大衆文化を分析しながら、20世紀後期及び21世紀のアジア文化を三つのトレンドについて分析する。

アジアにおける日本大衆文化の普及
「哈日族」現像の要因:
(1) 日本とアジアの関係の向上とグローバライゼーション時代の到来
(2) アジア版と海賊版の流行
(3) 日本大衆文化を取り上げるメディアの登場
(4) 日本大衆文化の魅力

漫画とアニメ
---売り上げと視聴率:
  香港と台湾、約十万冊、15-20%;シンガポール、約一万冊、7%
--影響:日本のキャラクター商品の消費への刺激とアジア各地の会社の商品とサービスへのプロモーション

テレビ・ドラマ
---数と視聴率の上昇
--日本の流行曲、アイドル、ファッションの消費文化への刺激

音楽
--売り上げ:香港と台湾、十万枚以上;シンガポール、2-3万枚
--地元の音楽、ファッション、テレビ・ドラマ及び商品文化への影響

アジアにおける地元大衆文化の日本化
漫画:
--漫画の描き方、雰囲気、技術、スタイルやストーリーを日本漫画から学ぶアジアの漫画家
テレビ・ドラマ
-- 多くの香港や台湾のテレビ・ドラマの日本ドラマの模倣
音楽
--アジア音楽界に強い衝撃を与えるJ-POPの音楽、ダンス、舞台設計、服装、製作、パッケージ、宣伝等
--日本の人気アイドル・グループを模倣したグループの登場
--増加する日本の歌のアジアカバー曲

アジアにおける日本大衆文化の現地化
原因:
(1) 安価なアジア版や海賊版
(2) 言語と文化の壁
(3) アジア諸国の多くに存在する検閲

日本大衆文化の現地化の構造:日本は、ハードウェア、フォーム、アイディアを提供し、アジアの人々が中身を入れる
例: 寿司、ビデオ・ゲームとファッション

結論
アジアにおける大衆文化の日本化、および日本大衆文化の現地化は貨幣の両面のようなものであり、2つの力の相互作用によって、将来「アジア大衆文化」が生まれるであろう。


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